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法律クラス

弁護士から学ぶ法律学習クラス

弁護士 田村宏次
第1回:賃貸経営に不可欠な「賃貸借契約」

Part1.一般的な契約と法律の定めの違い

例えば、マンション等の建物賃貸借契約書には、賃料について定めが必ずあります。具体的には、当該契約書に、(1)賃料額についての定め。(2)賃料額の改定ルールの定め。(3)賃料前払い原則の定め。(4)賃料月払い原則の定め。(5)日割り計算のルールの定め。(6)賃料支払いに要する費用(振込手数料等)の負担の定めが為されることが通常です。


他方、法律には、民法601条・「賃貸借は、物の使用収益に対し賃金を支払う契約である」、民法611条・「賃借物の一部が滅失した場合に、その滅失に対応して賃金の減額請求ができること」、民法614条・「建物の借賃は毎月末に支払う」こと即ち後払いの原則をそれぞれ定めています。また借地借家法には家賃の増減額請求権についての定めがあります。


これらの規定と契約書の定めを比較してみると、例えば、一般の賃貸借契約書では、賃料の前払いが定められていますので、法律(上述の民法614条)とは異なった定めがなされていることになりますが、これは当事者の合意として有効であると考えられています。


他方、賃料が「使用収益に対する対価の支払い」であるという点は、賃貸借契約の最も本質的な要素です。


したがって、例えば、その対価があまりに安く「対価」と認定できないような場合は、要件のひとつが欠落していると言えますから賃貸借と認められないことになってしまいます(対価性なく使用収益させる契約ですので、「使用貸借契約」ということになります。)。


このような観点から言えば、賃貸借契約は、一定期間の空間等の利用権を賃料という名の代金で売買するという契約と考えることができます。

まとめ 一般の賃貸借契約書では、賃料の前払いが定められているので、民法や借地借家法などの法律とは異なった定めだが、当事者の合意として有効と考えられている。
他方、賃料が「使用収益に対する対価の支払い」という点は、賃貸借契約の最も本質的な要素で、対価があまりに安く「対価」と認定できない場合、賃貸借と認められないことになってしまう。

賃貸借契約は、一定期間の空間等の利用権を賃料という名の代金で売買する契約と考えることができる。
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