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法律クラス

弁護士から学ぶ法律学習クラス

弁護士 田村宏次
第1回:賃貸経営に不可欠な「賃貸借契約」

Part2.売買契約と賃貸借契約との違い

前回ご説明した、使用収益の対価である賃料の改定も契約の一部見直しですが、契約の見直しを自由に認めることは、「契約は守らなければならない」という原則に反することになります。例えば、売買契約などでは契約後に、「売買代金を変更してくれ」と言い出しても通常は認められません。


しかし、一時的な契約関係である売買契約と異なり、賃貸借契約のように長期に渡って契約関係が継続する場合には同一に考えることはできません。その時々の社会経済情勢を反映する契約関係の存在も必要です。即ち長期的継続的な契約では、それを支える社会経済的背景が変化することにより、契約の内容に影響を与える可能性があると言うことを前提に考えなければなりません。長期ロ−ンを組むとき変動金利と固定金利があるのと同じです。


つまり、賃貸借契約における賃料は、前回ご説明した空間等利用権代金としての側面に加えて、ロ−ンの金利に似ている側面があります。


この点、民法611条は、賃借人に対して、賃貸目的物の一部が滅失した場合にその滅失した部分の割合に応じた賃料減額請求権を認めています。長い間にこのような事(変化)が発生することを予想して定めているものです。ちなみに、建物が全部壊れてしまった場合は賃貸借契約自体が終了します。


次に、借地借家法32条は、社会経済事情変動を背景に、将来に向かって賃料を増減額する手続きを定めています。税率・地価その他経済事情は刻々と変動しますので、当初定めた賃料額が妥当性を欠くに至る場合を想定したものです。まさに長期に渡る継続的関係ならではの規定といえます。

まとめ 賃貸借契約のように長期的継続的な契約では、社会経済的背景が変化することにより、契約の内容に影響を与える可能性がある。
賃貸借契約における賃料は、空間等利用権代金としての側面に加えて、ロ−ンの金利に似ている側面がある。
民法611条 賃借人に対して、賃貸目的物の一部が滅失した場合にその滅失した部分の割合に応じた賃料減額請求権を認めている。
借地借家法32条 社会経済事情変動を背景に、将来に向かって賃料を増減額する手続きを定めている。
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